世界的な「抹茶ブーム」なのに製茶業の倒産が過去最多 その背景と今後の展望は #エキスパートトピ

今、日本の伝統である「抹茶」が、かつてない規模で世界を席巻しています。2025年の緑茶輸出額は約721億円と、前年の約2倍という驚異的な記録を樹立しました。世界各国での熱狂的な「抹茶バブル」到来によって、世界中で「抹茶スイーツ」や「抹茶ラテ」が大ブームとなる一方で、皮肉にも日本国内の製茶業者の廃業が止まらない状況に陥っています。
なぜ抹茶人気であるにもかかわらず、製茶業の廃業が相次ぐのでしょうか。なぜこれだけ売れているのに作り手たちは疲弊してしまうのでしょうか。その背景と今後の展望を考えます。
ココがポイント
製茶業の廃業、2025年は過去最多 「抹茶人気」逆風に出典:帝国データバンク 2026/3/6(金)
抹茶ブームなのに倒産が過去最多 製茶業界が直面する二極化の闇出典:Forbes JAPAN 2025/8/8(金)
農家の高齢化と後継者不足という構造的な問題も出典:抹茶タイムズ 2025/7/17(木)
カフェ業界では十分な抹茶の確保と価格の高騰が課題出典:JETRO 2025/10/27(月)
エキスパートの補足・見解
世界的な抹茶の需要急増により抹茶の原料となる碾茶(てんちゃ)の価格は高騰を続けています。農家は高単価の碾茶生産へとシフトし、煎茶向け茶葉の供給量が大幅に減少。自前の茶畑を持たない中小製茶業者は茶葉を仕入れられない状況に陥っています。
茶農家は高齢化と後継者不足で戸数はピーク時から半分以下に縮小。茶畑も減少の一途をたどり生葉の絶対量が足りていません。加えて急須文化の衰退や家族葬の普及で、煎茶の主要な販売先だった小売茶店や冠婚葬祭需要も消滅しつつあります。
世界的な抹茶需要の爆発に国内の供給体制が追いついていないことも要因です。大手飲料メーカーや海外資本が原料となる碾茶を大量に買い付けた結果、仕入れ価格が異常なまでに高騰。中小の製茶業者は高騰した原料を確保できず、確保できたとしてもコストを販売価格に転嫁しきれないまま赤字を膨らませています。
現在の製茶業は「抹茶輸出が伸びる企業」と「国内市場に依存する中小製茶業」の二極化が進んでいます。今後は政府の支援策や多品種生産の推進で、煎茶文化を守りつつ抹茶ブームを活かした、持続可能な産業構造を目指すことが重要です。伝統と革新のバランスが製茶業の未来を決めるでしょう。


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